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高知地方裁判所 平成9年(ワ)53号 判決 1998年1月22日

原告

市原二三夫

ほか三名

被告

神田嶂

ほか一名

主文

一  被告らは、連帯して、

(一)  原告市原二三夫に対し、金二七七万五七八四円

(二)  亡市原一男承継人原告市原満惠に対し、金一三八万七八九二円、

(三)  同市原誠及び市原ゆき子に対し、各金六九万三九四六円

及び原告市原二三夫に対して右(一)の内金二五二万五七八四円につき、亡市原一男承継人原告市原満惠に対して右(二)の内金一二六万二八九二円につき、同市原誠及び同市原ゆき子に対しそれぞれ右(三)の内金六三万一四四六円につき、いずれも平成七年一一月一七日から支払済みまで年五分の割合の金員をそれぞれ支払え。

二  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、これを四分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告らの負担とする。

四  この判決第一項、第三項は仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは、連帯して、

(一) 原告市原二三夫(以下「原告二三夫」という。)に対し、金一一〇二万一〇〇〇円

(二) 亡市原一男承継人原告市原満惠(以下「原告満惠」という。)に対し、金五六二万四四〇〇円

(三) 同市原誠(以下「原告誠」という。)及び市原ゆき子(以下「原告ゆき子」という。)に対し、各金二八一万二二〇〇円及び右(一)の内金一〇〇二万一〇〇〇円、右(二)の内金五一二万四四〇〇円、右(三)の内金二五六万二二〇〇円に対する平成七年一一月一七日から支払済みまで年五分の割合の金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  交通事故の発生(以下「本件事故」という。)

日時 平成七年一一月一七日午後四時三五分ころ

事故現場 高知県土佐市波介一八七四番地九先路上

加害車両 原動機付自転車(土佐市か六六一二)

運転者 被告神田篤(以下「被告篤」という。)

事故態様 被告篤は、見通しの悪い屈曲した道路を、原動機付自転車を運転して進行中、本件事故現場で、右道路を横断のため西側から東側に向かい歩行中の亡種に自車を衝突させた。

2  亡種の死亡

亡種は、本件事故により、外傷性くも膜下出血、脳挫傷の傷害を負い、同年一二月四日高知脳神経外科病院において死亡した。

3  身分関係

原告二三夫及び承継前原告市原一男は、いずれも亡種の子供である。

承継前原告市原一男は、平成九年九月八日に死亡し、配偶者である亡市原一男承継人原告満惠(二分の一)及び子供である同誠、同ゆき子(各四分の一)がその権利義務を承継した。

4  被告らの責任

(一) 被告篤は、そもそも運転免許を有していなかった。本件事故現場付近は、被告篤の進行方向の土佐市高岡町方面に向かい、左に屈曲した見通しの悪い道路であったから、原動機付自転車を運転する者としては、道路を横断等する歩行者の安全のため、徐行して進行すべきところ、被告篤は本件事故現場の手前で時速約三〇キロメートル以上の速度で進行したため、事故現場の九メートル手前で、西側から東側に向かい横断するべく歩行中の亡種を発見したが、これを避けることができず、同女に自車を衝突させこれを死亡せしめた。同被告には、見通しの悪い道路で、徐行せず、前方不注視のまま、高速度で走行した過失があるから、亡種の死亡につき不法行為に基づく損害賠償責任を負う。

(二) 被告神田嶂は、加害車両を保有し、これを自己の運行の用に供していた者であるから、自動車損害賠償保障法三条に基づき損害賠償責任を負う。

5  損害の発生及びその評価

(一) 亡種の損害

(1) 入院関係費

<1> 治療費 九四万一八八一円

<2> 付添費 一〇万八〇〇〇円

入院から死亡まで一八日間近親者付き添い(一日六〇〇〇円)

<3> 入院雑費 二万三四〇〇円

入院から死亡まで一八日間(一日一三〇〇円)

<4> 休業補償 五万六二〇〇円

亡種は、株式会社日本理工四国医研の外交員として勤務し、平成五年、同六年は、年間平均一一三万九六二三円の収入をあげていた。右平均年収を日額に換算し、入院期間を乗じると五万六二〇〇円になる。

(2) 傷害慰謝料 二八万八〇〇〇円

(3) 逸失利益 一六三〇万三八一一円

<1> 亡種は事故当時七五歳であった。同人は、生前、前記のとおり外交員として働き、年間平均一一三万九六二三円の収入があった。その稼働可能期間は、平均余命一二・八九年の二分の一である六・四四五年であるので、右年収から生活費として三割を控除し、中間利息の控除として、右期間に対応する新ホフマン係数を乗じた金額四〇九万五二五八円が、亡種の外交員収入の逸失利益となる。

<2> 亡種は、厚生年金(老齢)年額一〇八万〇五〇〇円及び国民年金(通算老齢)年額二二万二八六四円を受給しており、本件事故がなければ、死亡当時から平均余命の八八歳まで毎年同額の年金を受給することができた。右八八歳まで毎年受取るべき金額について、新ホフマン係数を乗じた金額を併せると、別表記載のとおり金一二二〇万八五五三円となる。

(4) 死亡慰謝料 二〇〇〇万円

(5) 損害の填補

原告らは、亡種の入院治療及び死亡について、損害賠償任意保険給付金から金一九〇〇万九一五〇円の填補を受けた。

(6) 亡種の損害のまとめ及び相続

前記(1)ないし(4)の亡種の損害額合計は、三七七二万一二九二円である。これから前記(5)の填補額一九〇〇万九一五〇円を控除した額は一八七一万二一四二円となる。この損害賠償請求権について、原告二三夫と承継前原告市原一男は各二分の一づつ相続した(各九三五万六〇七一円)。承継前原告市原一男は、平成九年九月八日死亡し、原告満惠がその二分の一の権利(四六七万八〇三五円)を、同誠及び同ゆき子がいずれもその四分の一の権利(二三三万九〇一七円)を承継した。

(二) 原告らの損害

(1) 葬儀費用等(原告ら) 一四三万一一七六円

<1> 葬儀関係費 一二三万一一七六円

<2> 墓碑建立費 二〇万円

(2) 交通費(承継前原告市原一男) 二二万七三〇〇円

亡種の死亡までの間、承継前原告市原一男及びその家族が、広島から高知まで、三回にわたり、のべ九人が往復をした。

(3) 弁護士費用(原告ら)

原告らは、本訴訟遂行のため、弁護士である原告代理人に本訴提起及び遂行を委任した。本訴の弁護士費用として、原告らが被告に請求できる金額としては、金二〇〇万円(原告二三夫につき一〇〇万円、同満惠につき五〇万円、同誠、同ゆき子につき各二五万円)が相当である。

(4) 香典による填補

原告らは、被告らから香典(葬儀関係費)として一〇万円を受領したので、原告らの損害の填補に充てた。

(5) 原告らの損害のまとめ

原告らは、前記(1)の葬儀関係費に被告らの香典を充当し、残額を相続分に応じて負担した。

原告二三夫固有の損害は、前記(1)から一〇万円を控除した残額の二分の一及び(3)の一〇〇万円の合計である一六六万五五八八円である。

その余の原告らは、前記(1)から一〇万円を控除した残額の二分の一と(2)の合計額八九万二八八八円を法定の相続分に従い承継し、その他に各自(3)のとおり弁護士費用を負担したので、原告満惠につき九四万六四四四円、同誠、同ゆき子につき各四七万三二二二円となる。

(三) 損害のまとめ(請求金額)

被告篤は不法行為に基づき、被告嶂は自動車損害賠償保障法の運行供用者として、それぞれ原告らに対して請求の趣旨記載の損害賠償義務を負う。

原告二三夫は、前記(一)、(二)を合計額一一〇二万一六五九円の内、一一〇二万一〇〇〇円及び弁護士費用を除く金員に対する本件事故の日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を請求する。

原告満惠は前記(一)、(二)の合計五六二万四四七九円の内、五六二万四四〇〇円及び弁護士費用を除く金員に対する本件事故の日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を請求する。

原告誠、同ゆき子は、いずれも、前記(一)、(二)の合計二八一万二二三九円の内、二八一万二二〇〇円及び弁護士費用を除く金員に対する本件事故の日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を請求する。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因一の1ないし3の事実は認める。

2  同4の(一)の事実について、本件現場が見通しの悪い場所であったこと、被告篤が同所を徐行せずに進行したことは認めるが、前方注視義務違反の事実はなく、被告篤に過失があったとの主張は争う。

同4の(二)の事実中、被告嶂が保有者であるとの事実は認める。その余の主張は争う。

3  同5(一)の事実について

(一) 請求原因5(一)(1)<1>の事実は認め、同<2>ないし<4>の事実は、不知ないし争う。

(二) 同(2)の主張は争う。

(三) 同(3)の各事実中、亡種の年齢、同人が厚生年金、国民年金を受給していたことは認め、その余の事実は否認する。亡種は、事故当時七五歳の高齢であり、平成四年三月ころから、肝硬変及び糖尿病に罹患していたので、就労は不可能であった。同人には既往症として頸髄打撲で昭和四〇年ころ入院治療を受けており、平成五年一〇月ころには、右手、両足のしびれを訴え、耳も聞こえにくかった。したがって通常の平均余命を前提とする逸失利益の算定は不合理である。

(四) 同(4)の慰謝料の額は争う、

(五) 同(6)の事実は認める。

4  同5(二)の各事実について

(一) 同(1)の葬儀費用は一二〇万円が相当である。

(二) 同(2)の事実は知らない。

(三) 同(3)の事実中、原告らが代理人に委任した事実は認め、その余の主張は争う。

三  抗弁(過失相殺)

本件事故現場は、横断歩道の設置されていない、右方の見通しの悪い道路であるから、横断しようとする者は、特に注意が必要であった。加えて亡種は右耳不自由であったのであるから道路の横断に際しては、いったん停止し、左右特に道路右方の安全を確認して横断を開始しなければならないのに、亡種は、これを怠って横断を開始した。また亡種は車両の直前に横断を開始したものであって、この点でも、亡種には過失がある。

四  抗弁に対する認否

争う。

理由

一  請求原因について

1  請求原因1ないし3の事実は当事者間に争いがない。

2  請求原因4の事実(責任)について

(一)  本件事故現場が見通しの悪いカーブをなしている道路であることは当事者間に争いがなく、証拠(乙二ないし五)によれば、被告篤は、原動機付自転車を運転して本件現場にさしかかり、同所で時速三〇キロメートル程度に減速したままで進行し、横断を開始していた亡種を避けることができず、これに衝突したことが認められる。原告らは、前方不注視及び法定の速度以上の速度で進行した旨を主張するが、被告篤が本件現場付近で法定の速度を越える高速度で原動機付自転車を運転していた、との事実を推認させる証拠はない。しかしながら、証拠(乙二)により認められる本件現場の状況からすると、同所は、自動車等の運転者に徐行義務が課せられた場所であるとまではいえないが、見通しが悪く、道路に沿って人家のある場所であったのであるから、横断者などの飛び出しに対応して、進行できるよう安全な速度まで減速すべき場所であったことが認められ、同所において時速三〇キロメートル程度で進行したことは、その義務に反したものというべきである。従って、本件事故につき、被告篤には過失があり、同被告は原告らに対して不法行為責任を負う。

(二)  請求原因4(二)(被告嶂の責任)について、乙第三号証によれば、加害車両は、被告嶂の保有にかかる車両であることが認められるから、同被告は自動車損害賠償保障法に基づき運行供用者として責任を負う。

3  亡種の損害

(一)  亡種が死亡にいたるまでの治療費等として九四万一八八一円を要したことは当事者間に争いがない。

(二)  亡種が、事故当日から平成七年一二月四日まで入院したことは、証拠(甲四の1、2)により認められる。亡種の傷害の程度からすると、この間近親者の付添いが必要であったことが認められる。そして、弁論の全趣旨によれば、原告主張のとおり、付添費としては一日六〇〇〇円、入院雑費としては一日あたり一三〇〇円が相当であり、入院期間を通じて、付添費は一〇万八〇〇〇円、入院雑費二万三四〇〇円を損害として認めることができる。

(三)  休業補償について

(1) 就労状況

証拠(甲五の1、2、甲一〇の3、証人黒川秋義)によれば、亡種は、昭和五一年ころから株式会社日本理工四国医研の外交員(訪問販売員)として働いていたこと、平成五年中には九九万三九一〇円の収入を、平成六年中には一二八万五三三七円の収入をあげていたこと、しかし平成七年中には販売員として顕著な収入はなかったことが認められる。一方で、亡種は事故当時七五歳という高齢者であり、平成五年に糖尿病、肝硬変で入院した際には、職業はなく、職歴としても散髪店の手伝い等しかしたことがない旨申告しているのであるが、前掲証言によれば、訪問販売員の仕事は、完全歩合制で出社義務はほとんどなく、訪問販売員自身も自己の仕事をパート程度にしか認識していないことが窺われるから、前記のように対外的に自己を無職であると述べたことをもって亡種が就労していなかったとか、収入がなかったものと推認することはできない。もっとも後記(2)のとおり、亡種は平成五年八月ころから糖尿病の症状が顕著になり、平成七年になってからは、訪問販売の仕事も、原告二三夫に訪問先まで自動車で連れていって貰わなくてはできなくなっていた。

(2) 病状

証拠(乙一〇、一一)によれば、亡種は、平成四年三月ころ、土佐市民病院で、肝硬変、糖尿病等の診断を受け、以後継続的に治療を受けていたが、平成五年八月ころまでに糖尿病の症状が顕著になり(体重が半年で一三キログラム減少)、同月三〇日から同年一〇月八日までは土佐市民病院に入院したこと、退院時インシュリンの自己投与等の自己管理を指導されたが、その後も糖尿病は顕著な改善をみないまま推移していたこと、平成六年一二月には膵臓がんの疑いがあるとの診断を受けていたことが認められる。

(3) 以上、亡種の就労状況、現実の平成七年ころの収入、事故当時の病状に照らすと、原告らがいうように本件事故当時、平成五年の収入と平成六年の収入の平均程度の収入を上げ得たものと認めるのは困難であるが、少なくとも平成六年の収入の半分程度は上げ得たものと認めるのが相当である。

そうすると、平成七年一一月一七日の事故当日から、同年一二月四日に死亡するまでに亡種が被った休業による損害としては、平成六年の収入の半分である六四万二六六八円を日割計算し、その一八日分にあたる三万一六九三円と認めるのが相当である。

(四)  傷害慰謝料

原告らは、亡種の入院について傷害慰藉料を請求するが、本件は、傷害の程度が重篤で死亡までの期間が長くなかったことからすると、この点は死亡に対する慰藉料の算定にあたって勘案すれば足り、独立に損害として評価する必要はないと判断する。

(五)  逸失利益

(1) 訪問販売員の収入について

原告らは、亡種が、向後平均余命一二・八九年の半分である六・四四五年間訪問販売の外交員として就労し得たものとして、右期間に外交員としての年収平均(平成五年分と六年分の平均)に新ホフマン係数を乗じた金額を逸失利益として主張する。しかしながら、前記3の(三)の(1)及び(2)に認定したところによれば、事故当時、糖尿病と肝硬変のために相当程度健康を害していた亡種が、原告ら主張のような収入を上げ得たと認定することは、困難であって、この逸失利益についての原告らの主張は採用し難い。

(2) 年金収入について

亡種が、事故当時、厚生年金(老齢)及び国民年金(通算老齢)を受けていたことは当事者間に争いがない。証拠(甲六の1、2)によれば、亡種は、事故当時平成七年分として、厚生年金一〇八万〇五〇〇円、国民年金は二二万二八六四円を受給していたことが認められる。平成七年当時の簡易生命表によれば、七五歳の女性の平均寿命は八八歳であるから、亡種は右年齢まで毎年右合計額一三〇万三三六四円を受給することができたものと推認するのが相当である。亡種が息子と生計を同じくしていたこと、その年齢、扶養を要する家族がいなかったことからすると、右年金を逸失利益とした場合、その生活費控除率は四〇パーセントと認め、前記一三〇万三三六四円から右生活費割合を控除し、その年金現価を新ホフマン係数(一三年間は九・八二一一)を用いて算出すると、その逸失利益は七六八万〇二八〇円となる。

(六)  死亡による慰藉料

被告篤が無免許で原動機付自転車を運転し、本件事故を惹起したこと、本件事故の態様その他諸般の事情を考慮し、亡種の死亡による慰藉料としては、二〇〇〇万円をもって相当と認める。

(七)  亡種の損害のまとめ

亡種が本件事故により被った損害の合計は前記(一)ないし(三)及び(五)、(六)の合計である二八七八万五二五四円となる。

4  原告らの損害

(一)  葬儀費用

証拠(甲一一の1ないし12及び甲一二)によれば、原告らが、亡種の葬儀に関して一二一万五六四六円を支出したこと、墓石建立費として二〇万円を支出したことが認められ、葬儀費用の合計は一四一万五六四六円となり、これは本件事故と相当因果関係のある損害というべきである(原告は、甲一一の13及び14をも葬儀関連費用の証拠として提出したものと見受けられるが、これらの高知脳神経外科病院の領収書と葬祭とどのような関連があるか、証拠上明かでない。)。

(二)  交通費

亡市原一男訴訟承継人原告らは、亡種の入院及び死亡のため、広島から家族で二回以上往復し、その交通費として合計二二万七三〇〇円(のべ九人分)を支出した旨主張する。しかし、高知、広島間の旅費についても、亡市原一男らが高知を訪れたことについても的確な証拠がない。

二  抗弁(過失相殺)

1  前記一の2に認定の本件事故の態様からして、亡種も安全確認を怠った過失があるが、亡種が高齢者であったことからすると、その過失割合は二割と認めるのが相当である(なお、被告らは、亡種が進行車両の直前を横断した過失を主張するが、そのような過失を認め得る証拠はない。)。

2  亡種の損害についての相殺結果

前記一の3に認定した亡種の損害について、前示の過失割合を控除するとその額は二三〇二万八二〇三円となる。

3  原告らの損害についての相殺結果

前記一の4に認定した原告らの被った葬儀費用について、被害者側の過失として前示の過失割合を控除すると一一三万二五一六円となる。

三  損害の填補

1  亡種の入院治療費及び死亡について、原告らが損害賠償保険給付金として一九〇〇万九一五〇円を受領したことは当事者間に争いがない。従って、前示二2の二三〇二万八二〇三円からこの保険金額を控除した四〇一万九〇五三円が、亡種の未填補の損害として残存している。

2  原告らが、葬儀関連費用として、被告らから香典一〇万円を受領したことは当事者間に争いがない。従って、前示二3の一一三万二五一六円からこの一〇万円を控除した一〇三万二五一六円が、原告らの未填補の損害として残存している。

四  各原告の損害賠償請求権

以上認定した損害額及び亡種の相続、亡市原一男の相続承継の事実によれば、各原告に認められる損害賠償請求権は次のとおりである。

1  原告二三夫につき、前記三の1、2の合計額五〇五万一五六九円の二分の一である二五二万五七八四円。

2  原告満惠は前記三の1、2の合計額五〇五万一五六九円の四分の一である一二六万二八九二円。

3  原告誠、同ゆき子は、いずれも、前記三の1、2の合計額五〇五万一五六九円の八分の一である六三万一四四六円。

五  弁護士費用

前記認定の各損害賠償請求権を前提とすると、弁護士費用の内、本件事故と相当因果関係のある損害として、原告らが、被告らに請求しうる金額は、原告二三夫につき、二五万円、原告満惠につき一二万五〇〇〇円、原告誠、同ゆき子につき各六万二五〇〇円であると認められる。

六  結論

被告篤は不法行為に基づき、被告嶂は自動車損害賠償保障法三条に基づき、それぞれ原告らに対し、損害賠償義務を負う。

原告二三夫の請求は、二七七万五七八四円及び右の内二五二万五七八四円につき本件事故の日である平成七年一一月一七日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を求める請求は理由があり、その余の請求は理由がない。

原告満惠の請求は一三八万七八九二円及び右の内一二六万二八九二円につき本件事故の日である平成七年一一月一七日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を求める請求は理由があり、その余の請求は理由がない。

原告誠、同ゆき子の各請求は、いずれも六九万三九四六円及び右の内六三万一四四六円につき本件事故の日である平成七年一一月一七日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を求める請求は理由があり、その余の請求は理由がない。よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 三木昌之)

(別表)

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